11月
13
2008

【行政書士過去問】(平成20年問32)売買契約

AがBに対して自己所有の家屋を売る契約をした場合に関する次の記述のうち、判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. Aが当該家屋をBに引き渡すまでの間は善管注意義務をもって当該家屋を保存・管理しなければならないので、Aの履行遅滞中に不可抗力で当該家屋が滅失してもAが善管注意義務を尽くしていれば責任を負わない。
  2. Bが登記を備える前に、AがCに対して当該家屋を二重に売ってしまった場合、CがBより先に仮登記を備えたときでも、AのBに対する債務は未だ履行不能とはならない。
  3. Bが登記を備える前に、AがBへの譲渡を知っているDに対して当該家屋を二重に売ってしまい、登記を移転してしまった場合、Bは、それだけではDに対して債権侵害を理由とする不法行為責任を追及できない。
  4. Bが登記を備える前に、AがBへの譲渡を知らないEに対して当該家屋を二重に売ってしまい、登記を移転してしまった場合、BがAに対して履行不能による損害賠償を請求するときは、価格が騰貴しつつあるという特別の事情があれば、転売・処分の可能性がなくても、騰貴前に処分したことが予想されない限り、騰貴した現在の価格を特別損害とすることができる。
  5. Bが登記を備える前に、Aが、Bを害することを知っているFと通謀して当該家屋をFに対して代物弁済し、登記を移転してしまった場合、Aがその結果無資力となれば、Bは、A・F間の代物弁済を、詐害行為を理由に取り消すことができる。

正解:1

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【1】 X 妥当でない

善管注意義務を果たしていたとしても、履行が遅滞していた以上は、家屋の滅失についてAは債務不履行による損害賠償責任を負わなければならない(民法415条、大判明39.10.29)。

【2】 ○ 妥当である

仮登記には対抗力が認められないので、Cへの仮登記だけでは、AのBに対する債務は履行不能となっていない(民法177条参照)。

【3】 ○ 妥当である

不動産の二重譲渡の場合、第二譲受人は第一譲受人に対して不法行為責任は負わないとされている(民法709条、最判昭31.5.31)。第二譲受人の行為には違法性がないからである。

【4】 ○ 妥当である

価格が騰貴しつつあるという特別の事情があれば、騰貴した現在の価格を特別損害とすることができるとされている(民法416条2項、最判昭47.4.20)。

【5】 ○ 妥当である

Bを害することを知っているFに対して代物弁済として不動産を譲渡し登記してしまった場合は詐害行為となり、BはA・Fの代物弁済を取り消すことができる(民法424条)。


Written by admin in: 平成20年過去問 |

1件のコメント »

  • 通りすがり

    まずは無料でこのような解説をアップロードしてくださっている点に感謝します。とても良心的ですね。

    一点だけ言わせていただきますと,

    選択肢5は,特定物債権も究極的には損害賠償請求権に代わりうる者だから,金銭債権と同様,詐害行為取消権の被保全債権になりうるという最大判昭36.7.19への言及が必須ではないでしょうか。

    その上で,「Fへの譲渡を取消はできる(が,Fに対しBへの移転登記を請求できるわけではない)」という点まで言及がほしいところです。

    コメント | 2009 年 4 月 5 日

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