11月
12
2008

【行政書士過去問】(平成20年問19)国家賠償制度

国家賠償制度に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 違法な行政庁の処分に対し国家賠償請求訴訟を提起して勝訴するためには、あらかじめ当該処分に対して取消訴訟または無効確認訴訟を提起し、取消しないし無効確認の判決を得て、当該処分が違法であることを確定しておかなければならない。
  2. 国家賠償法は、憲法17条の規定を受けて制定されたものであるので、日本国民と外国人とを区別せずに損害賠償を認めている。
  3. 国家賠償法は、国または公共団体の損害賠償責任について、補充的に「民法の規定による」としているが、民法典以外の失火責任法*や自動車損害賠償保障法なども、ここにいう「民法の規定」に含まれる。
  4. 行政事件訴訟法は、行政庁が取消訴訟の対象となる処分をする場合には、当該処分の相手方に対し、取消訴訟と併せて国家賠償法1条に基づいて国家賠償訴訟を提起することができる旨教示する義務を規定している。
  5. 国家賠償法は、憲法17条の規定を受けて制定されたものであるから、特別法において、公務員の不法行為による国または公共団体の損害賠償責任を免除し、または制限する規定を置くことは憲法違反であり、許されない。

(注) *失火ノ責任ニ関スル法律

正解:3

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【1】 X 誤り

行政処分が違法であることを理由として国家賠償の請求をする場合に、あらかじめ行政処分につき取消又は無効確認の判決を得る必要はない(最判昭36.04.21)。

【2】 X 誤り

外国人が被害者である場合、国家賠償法は、相互の保証があるときに限って適用される(相互保証主義。国家賠償法6条)。
日本国民と外国人とを区別せずに適用されるわけではない。

【3】 ○ 正しい

国家賠償法に定めのない事項については、補充的に「民法の規定」が適用される(国家賠償法4条)。
この「民法の規定」は、民法典の規定のみを意味するのではなく、失火責任法や自動車損害賠償保障法(自賠責法)も含まれる(最判53.07.17)。

【4】 X 誤り

行政庁が、取消訴訟を提起することができる処分をする場合に、教示しなければならない内容は、(1)取消訴訟の被告とすべき者、(2)出訴期間、(3)審査請求前置、である(行政事件訴訟法46条1項)。
国家賠償訴訟提起の可能性について教示する必要はない。

【5】 X 誤り

国家賠償法が憲法17条の規定を受けて制定されたものであることは正しい。しかし、憲法は国家賠償法以外の特別法の制定を禁止したわけではないし、国賠責任を免除・制限する規定一般を禁止しているわけでもない。

判例は、「公務員のどのような行為がどのような要件で損害賠償責任の対象となるかは、基本的には立法府の政策判断によるが、この政策判断は無制限の裁量権や白紙委任を認めているものではないから、個別の判断が必要である」(最判平14.09.11)というだけであり、特別法の制定自体を憲法違反とするわけではない。


Written by admin in: 平成20年過去問 |

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