11月
12
2008

【行政書士過去問】(平成20年問04)社会権

次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 憲法25条の規定の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講じるかの選択決定は、立法府の広い裁量にゆだねられている。
  2. 国は、子ども自身の利益のため、あるいは子どもの成長に対する社会公共の利益と関心にこたえるために、必要かつ相当な範囲で教育の内容について決定する権能を有する。
  3. 労働基本権に関する憲法上の規定は、国の責務を宣言するもので、個々の国民に直接に具体的権利を付与したものではなく、国の立法措置によってはじめて具体的権利が生じる。
  4. 労働基本権は、勤労者の経済的地位の向上のための手段として認められたものであって、それ自体が自己目的ではなく、国民全体の共同利益の見地からの制約を受ける。
  5. 憲法が義務教育を定めるのは、親が本来有している子女を教育する責務をまっとうさせる趣旨によるものであるから、義務教育に要する一切の費用を当然に国が負担しなければならないとは言えない。

正解:3

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【1】 ○ 正しい

日本国憲法25条では生存権を規定している。
朝日訴訟事件判決によると、実際にどのような社会政策上の立法措置を講じるかについては、立法府の広い裁量にゆだねられている(最判昭42.05.24)。

【2】 ○ 正しい

いわゆる旭川学力テスト事件判決によると、子ども自身の利益のため、あるいは子どもの成長に対する社会公共の利益と関心にこたえるために、国には必要かつ相当な範囲で教育の内容について決定する権能がある(最大判昭51.5.21)。
もちろん、教師や親を中心とする国民にも教育内容の決定権がある。

【3】 × 誤り

労働基本権(憲法28条)に関する規定は、国民に直接に具体的権利を付与したものである。
生存権と異なり、国の立法措置によってはじめて具体的権利が生じるわけではない。

【4】 ○ 正しい

労働基本権(憲法28条)は、団結権、団体交渉権、団体行動権といった労働三権を保障するものであるが、国民全体の共同利益の見地からの制約を受けることがある。
全農林警職法事件判決において、判例は公務員の労働基本権をこのような見地から制約できることを認めている(最大判昭48.4.25

【5】 ○ 正しい

義務教育は、親が本来有している子女を教育する責務をまっとうさせる趣旨によるものである。
義務教育に要する費用については憲法上無償とされているが(憲法26条2項)、当然に一切の費用を国が負担しなければならないというものではない。
判例も、この規定は「授業料を徴収しない」ことを意味するとしている(最大判昭39.2.26)。


Written by admin in: 平成20年過去問 |

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