11月
12
2008

【行政書士過去問】(平成20年問03)個人の尊重

次の文章は、参議院内閣委員会で食育基本法案が議論された折のある議員の発言を、その趣旨を変更しないようにして要約したものである。この発言の趣旨と明白に対立する見解はどれか。

「更にちょっと深く議論を進めたいんですけれども、(法案の)13条に国民の責務という条文がございます。これについては先ほどの議論の中で努力規定という表現が提案者の方から聞かれましたけれども、しかしやはり国民の責務ときっちりうたっているわけでございます。」
「この健全な食生活に努めるという責務、これをなぜ国民は負わなければいけないんだろう。」「裏を返すと、不健康でもそれは自己責任じゃないかという、こういう議論もまたあるわけです。」
「そして、やはり自分が自分の健康を害することに対して何らかの制約を課す、これは法律用語でいいますと」、「自己加害の防止」であり、「これパターナリスティックな制約といいます。」「で、自己加害に対して国家が公権力として介入するのは原則許されないわけですね、これは法律論として。」
しかし、「未成年の人格的自立の助長や促進というものに関しては、限定的だけれどもこのパターナリスティックな制約は認められるであろうという、これが一つの法律の議論なんです。」

(出典 参議院内閣委員会会議録平成17年5月19日)

  1. 文明社会の成員に対し、彼の意志に反し、正当に権力を行使しうるのは、他人に対する危害の防止を目的とする場合である。
  2. 日本国憲法がよって立つところの個人の尊重という思想は、相互の人格が尊重され、不当な干渉から自我が保護されることによってはじめて確実なものとなる。
  3. 人の人生設計全般にわたる包括的ないし設計的な自律権の立場から、人の生と死についてのそのときどきの不可逆的な決定について、例外的に制約することは認められる。
  4. その人間がどういう将来を選びたいと考えるかよりも、その人間がどういう将来性を有しているかという観点を優先するのは、憲法の「個人の尊重」原理の要請である。
  5. 生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

正解:4

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【1】 × 対立しない

他人の意志に反して権力を行使することができるのは、他人に対する危害の防止を目的とするからだというのは、いわゆる「公共の福祉論」であり、これは設問文章と対立するわけではない。

【2】× 対立しない

個人の尊重という思想は、相互の人格が尊重され、不当な干渉から自我が保護されることを前提としていることは、本問見解の趣旨と合致する。したがって、本肢は設問文章と対立するわけではない。

【3】× 対立しない

人の人生設計全般にわたる包括的ないし設計的な自律権の立場からの制約こそが、設問文章でいうパターナリスティックな制約である。このような見地から例外的に制約することは設問文章も認めるところである。

【4】 ○ 対立する

設問文章によると、パターナリスティックな制約は限定的かつ例外的に認められるものである。したがって、憲法の「個人の尊重」原理の要請からすれば、その人間がどういう将来性を有しているかという他者からの評価よりも、その人間がどういう将来を選びたいという本人の決定権を優先するのが設問文章の考え方である。したがって、本肢は設問文章の発言と明白に対立するものである。

【5】× 対立しない

設問文章は国民の自由を最大限尊重し、パターナリスティックな制約も限定的に考えるべきとするものであるので、生命、 自由及び幸福追求に対する国民の権利を最大限尊重するという本肢とは対立しない。


Written by admin in: 平成20年過去問 |

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